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JCX Series第1戦 小貝川リバーサイドパーク レポート

第3回茨城シクロクロス 2014/10/13(月) 茨城県取手市小貝川リバーサイドパーク

本格的なシクロクロスシーズンインを迎えた東日本エリア。JCX Series 第1戦となった茨城シクロクロス、カテゴリー1では「弱虫ペダルシクロクロスチーム」のデビューとして臨んだ山本和弘が圧勝。シーズン開幕を最良の形で飾った。


弱虫ペダルシクロクロスチームのジャージをお披露目した山本和弘と弱ペダ作者の渡辺航先生: photo:MakotoAYANO

弱虫ペダルシクロクロスチームのジャージをお披露目した山本和弘と弱ペダ作者の渡辺航先生: photo:MakotoAYANO



宇都宮シクロクロスエキシビション、ジャパンカップシクロクロス、そして茨城シクロクロス。関東のシクロクロッサーにとって10月の3連休は濃密なシーズンインウィークとなった。


トリを務めたのは、JCXシリーズ(全9戦からなるAJOCC公認レースシリーズ戦)開幕レースとなる、第3回茨城シクロクロス。都心から近い会場、楽しみやすいコースと雰囲気が人気を呼び、まだ3回目と開催数が少ないながらも着実に参加人数を伸ばしている大会だ。

カズ、そして渡辺航先生はこの日一番の人気者。記念写真とサイン攻めにあっていた: photo:MakotoAYANO

カズ、そして渡辺航先生はこの日一番の人気者。記念写真とサイン攻めにあっていた: photo:MakotoAYANO

舞台は過去2大会と同じ茨城県取手市の小貝川リバーサイドパーク。台風18号の爪痕が残る中、そして目前に迫る台風19号の影響が心配される中、今大会のエントリー総数258名のうち、224名の選手が会場に集った。

最も注目を集めたのは山本和弘が所属する「弱虫ペダルシクロクロスチーム」のデビューだろう。スポンサーと監督は人気コミック作者である渡辺航氏が務め、チームGMは佐藤成彦氏が務めるなど、ロードチーム「Cプロジェクト」のカラーを濃くするシクロクロス専門チームだ。U23ライダーの中原義貴もチームライダーに名を連ねる。

「弱ペ」に登場する学校のカラーがすべて散りばめられたチームジャージは渡辺氏本人がデザインしており、少年チャンピオンのオンラインストアで購入が可能になるという。今回は渡辺氏が前夜にブログに書いたことで、弱ペの熱心なファンが会場に脚を運んだ。実際に渡辺氏もC3カテゴリーでCX本格デビューを飾り、ファンから大きな声援を受けていた。

「コミックやアニメを見て自転車に興味を持ってくれた方が本当に多く、これをきっかけに実際のレース会場に脚を運んで頂きたいんです」とは、この茨城シクロクロスでシーズンインを迎えた山本和弘。「ファンの中でも特に多いのはキッズたち。特にシクロクロスは敷居が低く親しみやすいですし、将来有望な若手選手をどんどん増やしていきたい」と加える。

最上位カテゴリーであるC1では、その弱虫ペダルシクロクロスチームのエース、山本が圧巻の走りを見せつける結果となった。



C1 スタート: photo:MakotoAYANO

C1 スタート: photo:MakotoAYANO

心配された天候はC3・L2・マスターズ・L1開催の午前中こそなんとか持ちこたえていたが、午後一番のC2の際には大粒の雨となり、コースコンディションは大きく変化。C1レーススタート前に雨脚は一時弱まったものの、超スリッピーな泥、そしてブレーキや変速機に積もっていく泥と枯れ草が選手とバイクを苦しめることとなる。

山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)が先頭パックを牽く: photo:MakotoAYANO

山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)が先頭パックを牽く:photo:MakotoAYANO

スタート直後に山本和弘と丸山厚(BOMA RACING)、小坂正則(スワコレーシングチーム)、そして斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)が抜け出し、ハイペースで後続を引き離していく形でレースは中盤まで推移していく。

群を抜いて落ち着いた表情で走行していた山本は、「フレッシュな機材だし、前日の輪島ロードレースの疲れも少し残っていたので序盤は様子を見ていた。身体が動いていたら次第に上げるつもりだった」との言葉通り中盤から加速し、追いすがる小坂らを振り切って独走体制を築き上げていく。

シケインは唯一人バニーホップでクリア。ライン取りも他の選手とは違うキレたコーナリング。MTB上がりの卓越したテクニックとロードレースで培った持久力。その圧倒的な速さと安定感にギャラリーからは感嘆の息が漏れた。

泥の影響でリアディレイラーを破壊した丸山を欠いた2番手パックでは、昨年第2回大会の勝者の合田正之(Cycle club 3UP)と小坂が激しい争いを繰り広げ、その後ろは斎藤が単独で、このコースを得意とする重田兼吾(Team CUORE / 順天堂大学)も徐々に追い上げを図ってくる。



安定した走りで山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)が先頭をひた走る: photo:MakotoAYANO

安定した走りで山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)が先頭をひた走る: photo:MakotoAYANO
丸山厚(BOMA RACING)が先頭との距離を詰めるべく踏む

丸山厚(BOMA RACING)が先頭との距離を詰めるべく踏む

合田正之(Cycle club 3UP)と小坂正則(スワコレーシングチーム)のデッドヒート: photo:MakotoAYANO

合田正之(Cycle club 3UP)と小坂正則(スワコレーシングチーム)のデッドヒート: photo:MakotoAYANO

山本和弘の勝利を迎える弱虫ペダルシクロクロスチームのスタッフと渡辺航先生: photo:Gakuto.Fujiwara

山本和弘の勝利を迎える弱虫ペダルシクロクロスチームのスタッフと渡辺航先生: photo:Gakuto.Fujiwara


弱虫ペダルシクロクロスチームのデビュー勝利を祝うカズと渡辺航先生: photo:MakotoAYANO

弱虫ペダルシクロクロスチームのデビュー勝利を祝うカズと渡辺航先生:photo:MakotoAYANO

結局、草と泥によるメカトラでリタイアが続出する中、一度もトラブルに見舞われず、一度もバイク交換をしなかった山本が独走勝利。2位以下に1分半以上をつける圧倒的な走りを披露し、新体制のスタートに弾みをつけた。2位争いは1秒差で合田に軍配。小坂は前日のジャパンカップCXに続き3位となった。

「まさに得意なコンディション。自分にアドバンテージがありました。自分の引き出しを有効に使えたレースだったと思います。」と山本は振り返る。「素直に勝利できて嬉しいですね。今年はシクロクロスにフル参戦するし、全日本タイトルを獲りにいきます。(竹之内)悠を倒せるのは自分しかいません。そのために体制も整えて頂いたし、負けるワケにはいきません。昨年は全日本不参加でしたが、今年はやりますよ。見ていてください!」と、真新しいカラフルジャージに身を包んだ山本は語った。


L1 トップを快走する今井美穂(CycleClub.jp): photo:Gakuto.Fujiwara

L1 トップを快走する今井美穂(CycleClub.jp): photo:Gakuto.Fujiwara


女子の最高カテゴリーL1では、前日のジャパンカップCXでも2位に入った今井美穂(CycleClub.jp)が、2位の武田和佳(Team CHAINRING)を2分以上引き離す快走で勝利。コンディションの変化にもかかわらず、一定のラップタイムを刻む安定感と卓越したバイクコントロール能力を見せた。「自分のスタンスはあくまで楽しくレースを走ること。なおかつ昨年よりも1つ上のポジションで走れたら最高ですね。シーズンが始まって嬉しい。」とレース後に語った。

2014-15シーズン、茨城シクロクロスは今回の第3回大会に加え、2015年3月8日(日)に第4回大会を開催見込み。「これまでと違う会場となる次回は少しテイストを変えたい。市街地からアクセスよいエリアで、より多くの方にレースを見て頂きたい。」と茨城シクロクロスを率いる影山善明氏(オンザロード)は言う。会場は茨城県土浦市・桜川河川敷の予定だ。

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C1(エリート男子)表彰

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L1(エリート女子)表彰

レースの模様は「春日部写真店フェイスブック」からもご覧いただけます。

RESULT

エリート男子 10周回

  1. 山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)56'20"
  2. 合田正之(Cycle club 3UP)+1'39"
  3. 小坂正則(スワコレーシングチーム)+1'40"

エリート女子 7周回

  1. 今井美穂(CycleClub.jp)41'08"
  2. 武田和佳(Team CHAINRING)+2'06"
  3. 綾野桂子(cycleclub3UP)+2'49"

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